子どもの頃の話になりますが、我が家では雑種の柴犬を飼っていました。生後2か月程で知り合いから譲り受け、家族でとてもかわいがりました。コロコロと丸くてかわいかったので自然と「コロ」という名前になり、友達と公園に遊びに行くときもコロを連れて遊びに行ったものです。コロはとても走るのが好きで小さい頃は私の方が走るのが早かったのですがあっという間に走るスピードは追い抜かされてしまいました。
コロの頭の中ではどうやら私は散歩要員だったらしく、朝や学校から帰ると自分で引綱を咥えて散歩に連れていくよう要求されました。小さいうちはほんの10分くらいで満足してくれた散歩も成長するにつれ遠く時間も長くいくようになり、気の向くまま歩かせると1時間でも2時間でも果てしなく歩きました。当時ドッグランなどなかったのですが人気のいない原っぱで思い切って引き綱を外してコロを思いっきり走らせてみることにしました。
すると物凄いスピードで駆け回り、飛び跳ね、何度も何度も原っぱの端から端まで走り抜けていきます。しばらく興奮は続き、こんどは前足で地面に穴を掘り始めました。何か出てくるのか?とちょっと心配になりましたが幸い穴を掘って匂いを嗅いだり寝そべったりしてあっという間に泥だらけに・・・。
この遊びが相当楽しかったと見えてその後もその原っぱによく連れていく羽目になりましたが、行って思いっきり走り回り穴を掘ると満足して帰るようになりましたが、毎回泥だらけになって体をきれいにするのが大変でした。
でも、この穴掘りが思いもかけず後に役に立つことになったのです。
夏休み家族で旅行に行き、海へ行くことになりました。とても暑い日で太陽は容赦なく照り付けています。
父が海の家に行ってビーチパラソルを借りてきました。砂浜に穴を掘るのはもちろんコロ。
「ここ掘れわんわん!」と私が指さしたところにコロは見事に深い穴を掘り、家族のために日陰を作ってくれたのです。
昔話の「花咲かじいさん」のポチのようにお宝を掘り当てることはありませんでしたが、コロの穴掘り話は家族の楽しい思い出となりました。